1. 就業規則

ウチの会社の従業員数は12名です。内訳は正社員5名、パートタイマーが7名です。
就業規則は従業員が10名以上になると作成して、労働基準監督署へ届出なければいけないと聞きましたが、ウチは社員が5名なので、作成しなくてもいいでしょうか?

就業規則の作成と届出については、労働基準法で定められていて「常時10名以上の労働者」を雇用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない。と記載されています。結果からお答えしますと、貴社は就業規則の作成と届出をしなくてはならない企業規模になっております。

ポイントは「常時10名以上の労働者」という部分。採用時に期間を定めることなく雇用をした場合(いわゆる長期の雇用)は、パートタイマーといえども常時10名以上の労働者に含まれます。ただし、社員、パートタイマーの規則は同一のものでなければいけないかというと、勤務時間等労働条件が異なることから、むしろパートタイマーの規程を別に作成することをお奨めします。

さらに、就業規則は法令で作成を義務付けられているという考えはありますが、いわば、会社と社員双方の権利と義務の履行のための約束事を明記し、より安定した労働環境を整えるために必要なものです。普段はあまり意識していないことでも、会社では突発的なことが起こりうることも多々あります。特に最近は、市場の変化に伴った労使トラブルが多発しております。一度、トラブルが起こり、こじれた関係を修復するまでは相当な時間、金銭の支出そしてストレスを抱えることになりかねません。

労使双方が安心できる労働環境の整備そして、いざ何か起きた時にも冷静に対処できるよう、是非、就業規則を作成して下さい。

なお、就業規則の届出先は事業所の住所地の労働基準監督署です。

就業規則に必ず記載する内容(絶対的記載事項)

労働時間
  1. 始業および終業の時刻
  2. 休憩時間
  3. 休日、休暇
賃金に関する事項
  1. 賃金の決定
  2. 計算方法
  3. 支払方法
  4. 賃金の締め切り日、支払いの時期
  5. 昇給に関する事項
退職に関する事項(解雇の事由を含む)

2. 健康保険と労災保険

営業の仕事中、交通事故でケガをしたので、健康保険証を病院に提出して診療を受けました。
後日、社会保険事務局事務センターから「回答書」が送付されてきました。
何故「回答書」が送付されてきたのですか?

今回の交通事故によるケガは、業務中に発生したものなので基本的に労働者災害補償保険(以下、労災という)でカバーすることになります。

今回、病院の窓口で健康保険証を提示したことにより一旦、健康保険でカバーしましたが、後日の調査で業務中のケガだったということが判明し、労災保険でのカバーに変更されます。

よって、上記の「回答書」はその事実関係を調査するために送付されてきたことになります。万が一、ケガや病気をしたとき健康保険になるか、労災保険になるかの基本的な判断の目安は業務が原因となって生じたケガまたは病気かということです。

健康保険でカバーされる場合には、健康保険証を病院の窓口に提示して下さい。

3. 従業員の労働保険(労災と雇用保険)の加入と社会保険の加入について

従業員を労災保険、雇用保険そして社会保険に必ず加入させなければいけませんか?

労働時間、勤務時間に応じて加入の可否が変わります。
以下、労働保険および社会保険の2つに分けてご説明します。

【1】労働保険:労災と雇用保険を総称して労働保険といいます

労災
学生や短期のアルバイトを雇用した場合でも加入しなければなりません。
雇用保険

従業員が一定の加入条件を満たす労働条件の場合に加入することになります。
一定の加入条件とは、基本的に下記イ)およびロ)の条件を満たした従業員がいる場合に加入することになります。

(加入時満65歳以上や昼間学生など雇用保険に加入できない方は除きます)

イ)1週間の労働時間が20時間以上であること。
ロ)雇用契約期間が1年以上であること。

※3か月や6か月という短期の雇用契約期間でも、規定により雇用契約期間の更新が定められ、かつその雇用契約が1年以上反復更新するものであること。

【2】社会保険:健康保険、介護保険、厚生年金保険の総称です

社会保険は、常用労働者である場合は加入することになりますが、常用労働者という判断は、イ)1日勤務時間 および ロ)1か月の勤務日数により判断されます。

イ)およびロ)両方がその会社の所定労働日数の4分の3以上の場合は、社会保険に加入することになります。

〈例〉 所定労働日数 月21日、1日8時間の場合

月21日、1日6時間の勤務:加入する。
月21日、1日4時間の勤務:加入できない。